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スポーツカーらしさの追求とは?
とにかくカッコイイ!
アストンマーチンにはバンキッシュ、DB9、そしてこのV8ヴァンテージという大きく分けて3種類のシリーズがある。
バンキッシュから新しい車体になり、アルミのスペースフレームを採用、このV8ヴァンテージも同様の構造だ。
V8ヴァンテージは、いわゆるベビーアストンと言われるV8エンジンを搭載した、非常にボリューム感のあるデザインで、価格は安いとはいえ、1,500万近くする。また、ヴァンテージはいわゆるポルシェイーターと言えるだろう。価格的にもポルシェの911をターゲットとしてその客層を狙えるという設定になっている。
V8ヴァンテージを初めて見たのはデトロイトショーだった。まだエンジンもチューニングができておらず、低く不安定なエキゾーストノートを出していたが、非常に低い車高で、ステージにソロソロと登場してきたのが非常に印象的だった。そのかっこよさにしばらく見とれていたのを覚えている。今回はそのベビーアストンに乗れたということで、とても感無量だ。
ヴァンテージは4.3リッターのV8。実はこれは、ジャガーのXKに搭載されている4.2
リッターのジャガー製エンジンのチューニング版。ただ、XKの場合は300馬力なのに対し、ヴァンテージは380馬力となり、100ccの排気量アップとは別に、エンジンの細部にわたってチューニングして、さらに80馬力を絞りだしている。ポルシェよりちょっとパワーがあるというところが、落としどころとしては面白い。
ボディは完全な2シーター。また、ドライバーシートの後ろには、ちょっとした荷物置き場もあり、これがなかなか重宝する。また、FRのためにトランクスペースは意外と広くて、結構実用性の高い車になっている。
エンジンパフォーマンスは高いのだが、3000回転以下というのは、実はあまりトルクは無い。もちろん大排気量で4.3リッターもあるため、不精運転は出来るのだが、いざとなったときの加速感やレスポンスはXKのほうが優れていると言える。
そのかわり3000回転から超えたときの音、パワー感、伸び、このあたりはさすがにシャープで、XKを上回る。
一気に7000回転まで回るエンジン、それからちょっと微振動を伴いながらの回転感などはスポーツカーらしい大変気持ちのいいエンジンだった。
トップエンドまで本当によく回って、あっというまにスピードが出る。これは本当にすばらしい気持ちよさだ。
エンジンはポルシェの911など、他にもいっぱい良いエンジンはある。それらと比べると確かに最新のエンジンでは無い。しかし、そうではなくて今あるものをしっかりチューニングして作りこまれたというあたりがとても英国車らしさを感じさせる。
ちなみに設定は全て6速マニュアルのみ。この種の車でも、セミオートマチック、セミマニュアルが多くなっている中で、アストンマーチンはV8ヴァンテージに関してはセミマニュアルは持っていない。
近い将来パドルシフト(セミマニュアル)が搭載されるだろうとはCEO,ベッツ氏のコメントである。トランスミッションはリアに搭載しており、いわゆるトランスアクスル方式で、フロントエンジンでリアにトランスミッション/デフの一体型というスタイルを持つ。
したがってロッドで操作するトランスミッションはシフトフィードがあまりよくない。ロットの渋さ、ダイレクト感の乏しさなどがどうしても出てしまうので、たとえば1速を入れたときも、少し遊びを感じながら、ググっと回転を合わせて入れないとうまく入らない。ただこれもマニュアルの面白さだと割り切ろう。こういう部分もある種のドライビングの醍醐味だろうし、この渋さは重くてどうにもならないというのではない。もっといいトランスミッションはいっぱいあるが、これはこれでアストンマーチンらしさだろう。
クラッチは重いのだが、妙な重さではない。クラッチミートの幅も比較的広いので、 普通に運転できる。マニュアルに慣れた人なら簡単に運転できる。そういう意味では日常の実用性は結構高い。
それから車高が相当低いために、フロントのリップが若干心配だが、これは他のスーパーカーでもそうなので、自分で気をつけて走れば済む。ただしポルシェなどに比べて注意は必要だ。だが、エンジンの滑らかさ、クラッチの硬さ、シフトの使いやすさ、そういったもの含めて非常に実用性が高いスポーツカーだと言える。
パフォーマンスは、0−100km/hが5秒を切り、実力を発揮すると本当に速い。
ボディはこのクラスとしてはとても軽い。基本をアルミとして、造詣上できない部分をスチールとするなどの芸の細かいところを見せる。構造はスペースフレームである。
重量は1,630キロ、CD値は0.34と比較的大きいのだが、やはりこれは太いタイヤを履いてるので仕方がない部分だ。
最小回転直径が11mということは、半径は約5.5m。これもFRの良さだ。もちろんノーズが非常に長いので気をつけなければならないが、街中でも不便ではなかった。
ホイールベースは2600mmで、サスペンションは前後ダブルウィッシュボーンとなっている。フロント、リアともにスタビライザー付き。それから電子デバイスが全て備わっているので、安全面でも最終的なところはカバーしてくれる。
ハンドリングに関してだが、ロール特性は若干早いなと感じられる。もう少しダンパーで粘らせるのが僕としては好みだが、それでも太いタイヤとそこそこ硬いバネで、シュンと回ってくれる気持ちのよさ、それは十分楽しめる。これこそスポーツカーだなと思う。
難を言えば先ほどのダンパーの前後のコントロール、それからリアサスペンションのアクセルに対するレスポンスというのはもう少しドライバーに対してヴィヴィットだといいと思う。
それからステアリングのラック&ピニオンだが、そのダイレクト感ももっとシャープなものやボディ剛性が高いものもあるが、これでアストンマーチンらしさ、他には代えがたいものとして認めたい。
乗ったときの姿勢はもちろんかなり後ろに乗るし、フロントが長いこともあり直前しか見えないが、170cmくらいの背ならそんなに不自由は感じない。実用上も街中の感覚さえつかんでいればさほど問題は無い。それにもちろんシートアジャスターなど多彩に装備済みだ。
四隅の感じ、とくにリア、斜め後方の視界は若干落ちるが、スポーツカーとして考えれば悪くない。そういうところもよく考えられているなぁと思う。
また、こういう車は水温が非常に気になるところだが、渋滞の中でも全く針は動かなかった。リライアビリティは相当いい。
最近のバンキッシュ、DB9などは信頼性が高くなっているが、それにしてもベビーアストンは特別だと思う。それからインテリアなども、本当にスーパーカーらしい持ち味を持っていて、豪華ではないが、シンプルで見やすくなっている。
ただ、この車、ほとんど手作りなので、一つ一つがオーダーメイドになる。たとえばこの色に欲しいという形で、たとえば「ポルシェのこの色」とか言えば塗ってくれるはずだ。
室内もオーダーメイドできる。もちろんコストはかかるが、自分のアストンをオーダーできるのはプレミアムブランドらしい。
日本では早くて8ヶ月から一年、イギリスでは3年くらいの納車待ちとなっている。 生産台数が非常に限られている。 是非また乗ってみたいクルマである。
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