試乗レポート 第245回  VW・パサート、パサートバリアント




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インプレッション by 日下部 保雄

 パサートは高級であることだけを追求せず"高品質"にこだわり、ワンクラス上の上質感を狙ったVWの中堅モデルだ。VWらしい乗り味と安定性と価格がバランスしたリーズナブルな車に仕上がっている。価格はパサートが319万円から、パサートバリアントが335万円から。


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新たなベンチマークとなるか

 フルモデルチェンジしたパサートは、従来モンデオやBMWなどの車がベンチマークであったこのクラスに対し、新たな価値基準を作ろうと言う意気込みのもとに誕生した。 73年にデビューして以来、パサートは世界中で評価されて、これまで1,300万台が販売された。そして今回登場したのが6世代目になる。

 従来のパサートに対して長さで85mm、幅で75mm、室内高で15mmと一回り大きくなった。車種のラインナップとしては、3.2?/V6の4モーション(AWD),2?4気筒NAとターボのセダン。ワゴンであるバリアントには2?NAとターボが用意される。

 VWらしいオーソドックスなスタイルだが、エレガントさも加わった、いかにもこのクラスらしいデザインだ。

 フロントデザインなどを見るとかなり精悍で、VWの自己主張が出ていると感じられる。 インテリアもかなりきっちりつくられていて、全体の仕上げは1クラス上級の車に匹敵する。満足感は高いと思う。 また、トランクはあいかわらず広大、リアシートはバックレストが倒れるためにトランクとつながり、これまた大きな荷物を積むことが出来る。

 V6の4モーションは、従来の15度の狭角から全く新設計の3.2リッター10.6度狭角のエンジンになっている。排気量3.2リッターで、250PS、トルク33.1kg-m。狭角10.6のV6で、直列6気筒に近いながら、コンパクトで、クラッシャブルゾーンが多く取れるというメリットはある。V6エンジン特有の、ちょっとしたビートをともなった加速感というのはなかなかの魅力だ。

 4モーションは、VW特有のセンターデフにハルデックスカップリングを使うことで、前後のトルク配分を最適にする。また、ESP、EDSなどとも連携した進化型である。 後輪へのトルクはマルチプレートクラッチによって伝達されている。

 V6の4モーションにはトルコンを使わないオートマチックであるDSGが標準装備されている。DSGはスタート時のちょっとしたコツはあるにしても(発進時にアクセルワークにより飛び出しが強くなってしまう)、高トルクエンジンとの相性はなかなか良くて、走り出してからの変速感はトルコンのオートマチックとほとんどかわらない。

 もちろんこの新しいセミマニュアルのメリットは高く、ダイレクト感によるドライビングプレジャーを持ちながら、燃費に関しても有利だと思う。その反面重量はあるが。
 ハンドリングに関しては、操舵時のビルトアップ感(ハンドルの重さが適度に重くなる)が高く、ヨーロッパ車らしい感じになっている。またライントレース性も良い。 スポーツカーのようなキビキビ感ではないが、この種のセダンが持っていなければならない重さ、スポーティ感は表現されていると感じた。

 乗り心地は固めだが、感心するのは突き上げたときの固さよりも、段差乗り越しのショックの少なさ。これが非常にうまくコントロールされていて、固いといっても疲労感は非常に少ない。

 リアシートも快適だ。そのリアシートも広大ではないが、十分な広さを確保している。 実際に乗ってみると、ボディの剛性感、しっかり感を相当強く感じる。

 また、4モーションに対する安定感、とくに直進性に関する安定感やレーンチェンジ時の安心感はかなり高い。この車は400万ちょっとということだが、他の車に対してかなりお得感があると感じられた。

●バリアント・ターボチャージャー
 バリアントのリアは長めに作ってあるのでデザイン的に寸詰まり感がなく、伸びやかな雰囲気を出している。 2リッターのターボチャージャーについて言えば、いわゆるマイルドターボと言ってもいい。パワーは200PS。28.6kg-mで、1,500キロの重量に対しては十分な性能だ。オートマチックトランスミッションは6速のオートマチックになっている。

 FFとはいえ、ホイルスピンなどは少なくトラクションは高い。また4輪のマルチリンクサスペンションが効果的でリアの安定性はかなり高い。どっしりしっかり走ると言うのがパサートの特徴ではないかと思う。 また、日本車ではまだサスペンションストロークの最後のとり方とか、まだまだヨーロッパ車に学ぶべきところは多いのではないかと感じた。

 6速トランスミッションは時としてショックを感じることもあるが、基本的には優れたATだと感じる。乗り心地は固めだが、段差乗り越しなどのショック感はV6の4モーションより優れている。

 インテリアもそこそこ丁寧で高級感がある。室内長も十分にある。それからラゲッジルームも非常に広いので、さすがVW、良く考えているなと思わせる。

● 2リッターNA
 一番バランスがいいのは2リッターのNA。これは150PSのFF、20kg-mの1,430キロという重量だが、こちらも6速オートマチックの組み合わせでどの回転域からでも速やかな加速が出来る。

 もちろん爆発的な加速はターボに比べれば落ちるのだが、これでも十分交通の流れをリードして走ることは出来ると思うし、なおかつフロントが軽いので応答性やキビキビ感という点ではターボチャージャーよりも若干上。

 気楽に乗れて、しかも安定感が高いというのが、このパサートの特徴だ。そのかわりインテリアはシンプルになるのが物足りない。

 価格的にはかなり戦略的な価格が設定されていて、320万くらいから手に入る。 このクラスのベンチマークとして十分なポテンシャルを持っているという気がした。




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