試乗レポート 第145回  マツダ・RX-8(プロトタイプ)


新しいロータリーエンジンはどうか?

 ロータリーエンジンはコンパクトで、重量的にもレシプロエンジンの3分の2ぐらいとかなり軽いのがメリットで、さらに補機類がエンジンの上にくるので、エンジン高自体は直列4気筒のエンジンとそれほど大きな違いはないが、重心高は圧倒的に低く、そういう意味でもスポーツカーに非常に向いている。排気量は654cc×2ローターで、わずか1300ccだが、ハイパワーバージョンは250ps、スタンダードバージョンで210psというパワーを発生する。RX-7のようなターボではなくNAでの出力なので、ロータリーの本領発揮である。ターボも視野には入れていたようだが、コストや重量などの問題で、今回は新しいNAのロータリーエンジンとした、マツダの開発者は述べていた。



新世代ロータリーエンジンの「RENESIS」を搭載。スペックは、ハイパワーユニットが最高出力184kW[250ps]/8500rpm、最大トルク216Nm[22.0kgm]/5500rpm、スタンダードユニットが最高出力154kW[210ps]/7200rpm、最大トルク220Nm[22.6kgm]/5000rpm(※ともに日本/USA/オーストラリア仕様)となっている。



 

 RX-8を語るには、まずロータリーエンジンの話から始めないといけないが、重心高が低くコンパクトなロータリーを中心にパッケージングされている。またエンジン自体も、今まではペリフェラルポートだったが、今回サイドポートとなった。ちなみに一番最初もサイドポートで、途中からペリフェラルポートになったと記憶している。パワーは出たが燃費でけっこう不利な条件が出て、今回は見直しをしてサイドポートに戻った。もちろん単純にサイドポートにしただけではなく、吸気口および排気口を大きくし、また技術としてはアペックスシールなども改良されている。ロータリーエンジンの正常進化であり、それがこのレネシスという新しいロータリーエンジンである。

 今回試乗したのはすべてハイパワーバージョンの250psのほうだが、このエンジンの第一印象は、非常にレスポンスが良いことだ。実は個人的にはスタンダードのロータリーエンジンはあまり良い印象を持っていなかった。アクセルを踏んだときに、低速トルクがなくモワーッとした加速となり、そこからグーッと立ち上がっていくというような独特のフィーリングを持っていて、しかもトルクの盛り上がりがないのでパワーのある直列4気筒のようなグンとした加速感をあまり感じず、回転でエンジンパワーを稼ぐという印象だった。

 しかし新しいエンジンはレスポンスが良く、回転でパワーを稼ぐのが明確で、さらにトルクも低速からの立ち上がりが早い。微低速のトルクが相変わらず強力とはいえないが、今までのロータリーエンジンから相当な進化を遂げたと思う。またレスポンスにはローターやフライホイールの軽量化が効いており、さらに吸排気効率が相当上がっていて、燃費も20〜30%の改善がなされた。また環境対応も十分で、新世代のロータリーエンジンになっている。

 トランスミッションは6速MTで、これのフィーリングもかなりシャキッとしており、なかなか感じがよかった。

 シャシーでは、サスペンション形式はフロントがダブルウイッシュボーン、リアがマルチリンクだが、ストロークしたときのアライメント変化が非常に少ない印象だった。アーム類を長くとって、あまりアライメント変化が起こらないようなレイアウトになっているということだ。最初に三次で乗ったときはまだバラツキが見受けられたが、今回はかなり量産に近く、さらに煮詰めをしなければならないが、現状でも接地感は非常に良い。

 またヨーモーメントがとても小さく、ハンドルを切ったときのスパッと入っていく感じはいかにもスポーツカーだ。 ヨーの発生の考え方としては、例えばBMW5シリーズのようにとステアリングギヤレシオを遅くして高速での安定性を上げるのもあるし、スカイラインのようにギアレシオを速くしてヒュッと曲がっていくというのもあるが、ザクッと言えばスカイラインの印象に近い。 またドライバーのアイポイントと重心高が低いので、ロール感があまりなく、クルマとの一体感が強くてシャープにスッと曲がっていく。

 しかし全体的には非常に安定サイドに振られたクルマで、ノーズが入っていって、さらにリアがそれに対してちゃんと追従しており、とても素直な気持ちのいいハンドリングに仕上がっている。

<つづく 〜パッケージングについて>